推薦盤 G・H・ヘンデル  組曲「王宮の花火の音楽」

※ホームページの仕様変更により「推薦盤」をNEWSに再掲します

G・H・ヘンデル 

組曲「王宮の花火の音楽」

【特選】

指揮:ジョージ・セル

演奏:ロンドン交響楽団

録音:1961年

【推薦①】

指揮:カール・ミュンヒンガー 

演奏:シュトゥットガルト室内管弦楽団

録音:1981年

【推薦②】

指揮:ジャン=フランソワ・パイヤール

演奏:パイヤール室内管弦楽団

録音:1990年

【推薦③】

指揮:ラファエル・クーベリック 

演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

録音:1962年

【推薦④】

指揮:アウグスト・ヴェンツィンガー 

演奏:バーゼル・スコラ・カントールム合奏団 

録音:1962年

【解説】

この曲は,オーストリア継承戦争終結のために開かれたアーヘン和平会議を祝うためにヘンデルが作曲した組曲で,「序曲」「ブーレ」「平和」「歓喜」「メヌエットⅠ&Ⅱ」の5つの楽曲からなります。

祝典のために書かれた曲であるため,序曲は祝祭的な雰囲気の華麗な曲で,当時としては普通ではありますが第2曲と第5曲の舞曲の配置により,変化を愉しむことができるようになっています。

曲の版は大きく分けて2種類があり,管楽器と打楽器のみの版(初版)は,勇壮さを出すため当時のイギリス国王のジョージ2世の意向によるもので,これに弦楽器が加わった版(再演版)はヘンデルの主張によるものです。

【推薦盤】

この曲の特選盤は,カップリングの組曲「水上の音楽」でも非常に歯切れの良い演奏を披露していた,セル=ロンドン響の61年の録音としましょう。カップリング同様にハーティの編曲となっておりますが,弦楽器がしっかり入っている再演版の演奏で,カップリングと同様で演奏も活き活きとしたセルらしい闊達なものとなっており,セルの特徴でもあるオーケストラが引き締まったものとなっており,明るい響きが印象的な演奏です。

  次に,リヒターとともにバロック音楽をこの世に広めたと言っても良い,ミュンヒンガー=シュトゥットガルト室内管の81年の録音をお薦めしましょう。現代楽器による,ある意味理想的な演奏となっており,カップリングの組曲「水上の音楽」と同様にミュンヒンガーらしい気品に溢れている非常に味わい深い演奏となっており,非常に優雅であります。スコアは再演版を使用しております。

次に,パイヤール=パイヤール室内管の90年の録音をお薦めしましょう。パイヤールはこの曲を61年にも録音(同じ室内オーケストラ)しているため,この録音は新盤ということになりますが,旧盤は所有しておりませんが情報によると,旧盤は初版,新盤は再演版となっており,スコアを旧盤と新盤で変えたパイヤールの心境はわかりませんが,旧盤も是非聴いてみたいと思います。

さて,新盤の演奏内容ですが,パイヤールとしては珍しく遅めのテンポを採用し(年齢の影響か・・・),非常に上品な管楽器が印象的な,雰囲気を持った演奏となっており,万人にお勧めできる演奏内容となっております。

次に,この曲の推薦盤としては,意外な指揮者と演奏者の組み合わせですが,クーベリック=ベルリン・フィルの62年の演奏をお薦めしましょう。バロック音楽にクーベリックという,少々違和感のある印象がありますが,演奏の中身は現代的な響きとなっており,重々しさを感じさせない好演となっております。普通なら,バロック音楽において,この指揮者とオーケストラの組み合わせは買うことがないと思いますが,それはあくまで偏見であり,聴いてみるものだと思わせた1枚でもあります。 スコアは再演版を使用。

最後に,私が所有している音源で,唯一,管楽器と打楽器による初版の演奏であります,ヴェンツィンガー=バーゼル・スコラ・カントールム合奏団の62年の録音を紹介しましょう。 あまり多くない初版の録音と言うこともあり,管楽器と瑞々しい音楽が展開され,弦楽器が挿入されている再演版で聴き慣れている私にとって(多分,初版よりも再演版の方がメジャーでしょう),非常に興味深くかつ演奏も素晴らしいものとなっており,古楽器演奏ということで,さらに響きが聴き慣れなく,益々興味深い演奏となっております。 なお,CDの解説においては,弦楽器が入っている(再演版)と書いてあるものの,弦楽器の根色が聴くことができず,明らかに初版であり解説が間違っていると思われます。

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